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Vince Staples / Big Fish Theory

中身とアートワークのバランスにより、自分の中で特別な存在としての位置付けを決定的にした前々作の「Summertime '06」、から、昨年のEP「Prima Donna」と、やはり一番この人の作品で引っ掛かっているところは、太くて不穏でスッカスカでドス黒い作風で貫かれているトラックの部分で、Pusha Tと同質の期待を持って見ております。

で、今回は夏場に出たのと、ここ最近のトレンド、そして魚がジャケに載っているという理由から(ファーサイドのアザフィッシュをその中に勝手に感じ)、やや涼しい感じの中心なんだろうか?とか思ったりしましたが、全くそんなことは無くて、前作よりテクノ、ハウス的な要素が増えたような、カニエ作品(イーザスやTLOP)のような方向への尖り方を強めた印象を受けました。

一曲目から既にそのような感じになっており、音質はクリアでなんというかバウンスしたテクノというか、硬質なブロークンビートというか、そういったどちらかと言えばダンスミュージック的なものに。

そして、2曲目はイントロから低音抜き(ハウスDJマナー)で始まり、そのベースはシカゴのハウスのような印象を受けますので、実際すぐに展開してビシャっとしたスネアのドラムとピーヒャラが入ってくれば西海岸チューンと言った感じになるものの、始まりの部分のイメージを引きずりダンスミュージックにやや振った印象を持ってしまいました。

恐らく音質のところでそう思ったのも強く、金曜の夜中に近所を自転車でブラブラしながらまあまあのイヤホンという環境で、普段聴いている音量くらいで再生しようとしたのですが、最初の方なんかはボーカルあたりの音域が埋まった印象で、結構大きくすると良い感じになるダンスミュージック聴いているみたいなバランスでした。途中下げないとちょっとしんどいバキンバキンのところもあったり、珍しく一枚終了するまでに途中若干音量一つ分下げるような事もしました。

全体としては、ハウス的なものやモッタリした西海岸のテイストのヒップホップなど色々入って緩急も良い感じです。エッジが効きまくったドコドコブイブイカンカンしたケンドリック・ラマーの所なんかは(音量下げた所、それをややおとなしくしたのがASAP Rockyのところと言った感じか)、元気じゃない時はやかましいと感じそうですが、メローづいていく世の中に迎合しない所を今回も見せることが出来ていて良いなと。

私的には結構聴くのに体力を使いますが、そんなんでも定期的に聴いていきたいなと思うような、この人ならではのアルバムだったと思います。何となくですが日本の祭り的なものを感じたりと個性的でとても良かったかと。



Vince Staples / Big Fish Theory [CD]

vincestaples_bigfishtheorycd.jpg



Vince Staples / Big Fish Theory [デジタル]

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