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PIMP -アイスバーグ・スリムのストリート売春稼業- アイスバーグ・スリム (著)、浅尾 敦則 (翻訳)

2001年に発売された日本版はもちろん表紙は見たことがありましたが、なんせ若い頃の私は本当に米国の黒人に対してファッション(典型的なBボーイファッションはしませんが)や音楽というヒップな部分には興味があるものの、歴史などの部分にはあまり興味がなく、むしろなるべくそういったことを遠ざけるようなことが多かったため、読んでおりませんでした。

今回ひょんなことから新たにDU BOOKSから再出版されたこの本を読む機会に恵まれ、事前情報無しでいきましたが、とにかく1960年代の文章とは思えないラッパーが話しているような口語に近いめちゃくちゃにノリの良い文体で、もし横にふりがなが打たれていなければ絶対何を言っているかわからないスラングが大量に出てくる、それはもうその後登場するヒップホップへ影響を与えたとして考えられないような本でした。

IQ175(本当なんか?)の著者、アイスバーグ・スリムがピンプという仕事(日本で言う所の売春斡旋業者?ヒモ?)を生業としていた時の自伝ですが、別に客との間に入って交渉するとか無いし、本人は一体何の仕事をしているのかよく分からなく、主に家で薬物やっていたりする描写が多いので、ケツを蹴られているのになぜ女性が言うことを聞いているのかよく分からないのですが、まあそういう事が成立した時代ともの凄い魅力があったということなんでしょうか、それにしてもそれでお金を儲けてることが凄いですが。とにかくエゲツない描写や例えが多く、まるで頭に情景が浮かんでくるようなめちゃくちゃディティールが細かい文章が多く(あれだけドラッグやってこんだけ細かく覚えているのも凄いが)、あまりに過酷ですぐ疲れてしまいますので少しずつ読み進めました。

そんな中、色々な場面でかかっている音楽の描写が多いことに途中で気付き、読みながらメモしていった所、P12、P49、P68、P77、P81、P84、P92、P95、P107、P111、P125、P132、P134、P136、P146、P158、P180、P181、P182、P223、P228、と21ぺージほど(漏れているかもしれません)音楽に関する描写があり、ナット・キング・コール、エラ・フィッツジェラルド、ビリー・ホリデー、チャーリー・パーカーそしてかなり印象に残るデューク・エリントンのムード・インディゴなどが登場しております。

どれも陽気な曲ばかりで当時の世の中はこういう雰囲気だったのかな?と。こうした当時の音楽と一緒に文章を読みますと、痛々しいかったり汚かったりの描写も大幅にカラッとした感じになり随分と印象が違ってくるのでまた面白いですね。(下に何曲か貼っときました)



PIMP -アイスバーグ・スリムのストリート売春稼業-DU BOOKS
アイスバーグ・スリム (著)、浅尾 敦則 (翻訳)

icebergslim_pimp1.jpg
















単行本: 368ページ
出版社: DU BOOKS (2017/3/17)
言語: 日本語
ISBN-10: 4866470143
ISBN-13: 978-4866470146



内容紹介


ケンドリックラマー、アイスTやその後のラップ・スタイルに絶大な影響を与えた
黒人ストリート文学の最高傑作。

ディスクユニオンHipHopバイヤーが選んだ名著復刊!

巻末スペシャル・インタヴュー
ピンプとストリート・ビジネス、あるいはヒップホップ: 漢a.k.a. GAMI(『ヒップホップ・ドリーム』著者)


もしこの男に憧れるなら、おれも生き方を変えなきゃいけない……
そしておれはラッパーになったんだ――アイスT

黒人ラッパーだけでなく、
ジェイムズ・エルロイ世代の白人犯罪小説家にも大きな影響を与えている――『Qマガジン』

セックスと暴力の大傑作――『タイムズ』

文章の独創性はほとんどシェークスピア並みで
そしてセリフにはゲットーのノリが横溢している。――『スコッツマン』

多くのミュージシャンや作家に大きな影響を与えている
……彼は常に、リアルな姿を包み隠さず描いているんだ。――アーヴィン・ウェルシュ(『トレインスポッティング』原作者)

ジャン・ジュネが泥棒を描いたように、アイスバーグ・スリムはピンプを描いている。
――『ワシントン・ポスト』


著者について

アイスバーグ・スリム(Iceberg Slim)
1918年生まれ。本名ロバート・ベック。サウスサイド・シカゴ最高のピンプの座に約30年にわたって君臨。
数度の刑務所生活ののち、その「稼業」を引退すると、ロサンジェルスに移り住んで作家となり、ピンプ時代以上にその名を広く轟かせた。
処女作でもある本作『ピンプ』は1969年に出版され、ベストセラーとなる。そのグルーヴ感のある文体とともに、多くのラッパーたちにも影響を与え続け、アイスTの名前の由来ともなった。
1992年没。2012年にはドキュメンタリー映画『Iceberg Slim: Portrait of a Pimp』も公開された。

翻訳: 浅尾敦則(あさお・あつのり)
1956年、広島生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。音楽雑誌の編集部勤務を経て翻訳を手がける。 訳書に『カラフルなぼくら 6人のティーンが語る、LGBTの心と体の遍歴』(ポプラ社)など。



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